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会長先生の教室は、新校舎と呼ばれる建物の四階にありました。

その校舎の地下に降りると、右手に剣道場と柔道場
左手にはそれぞれの部室があります。

剣道部には時折、OBが訪れました。

OBがいらっしゃると部室内に雛壇を作ります。そして最上段に座って頂くのです。

会長先生は先輩に促され、必ず「歌」を唄わさせられました。

面白い歌を唄え、と言われるのですが、どんな歌が面白いのか・・・

しかめっ面のOBと先輩の視線を浴びながら、気まずい雰囲気を感じつつ
ただひたすらに、面白くない歌を唄ったのでした。

担任の先生は「名前と出身中学、在籍していた部活動」
を言う様、生徒に伝えました。

会長先生「剣道部でした」
担任先生「段とか持ってるのか?」
会長先生「はい、初段です」

その日の放課後、会長先生が帰り支度をしていると
担任の先生が教室を訪れました。

先生は無言で会長先生の腕を掴むと、有無を言わさず引き摺る様に
四階の教室から校舎の地下まで連行したのです。

高校入学後、初めて降りた校舎の地下に広がる光景は「剣道場」

まだ若い担任の先生は國士舘出身、剣道五段の体育教師だったのです。

甲子園出場の夢は入学早々に儚く終わりましたが
その一年後、野球部は夏の甲子園に出場を果たしました。

残念ながら会長先生は、甲子園のマウンドに立つ事は出来ませんでした。

しかしベスト8で終わる日まで野球部の応援に
甲子園のマンモススタンドに行く事は出来たのです。